マネーの拳 3 (ビッグコミックス)三田 紀房
小学館 刊
発売日 2006-03-30
オススメ度:★★★★
ビジネスのヒントがどっさり。この巻は面白い。 2007-05-26
井川に追い込みをかけられたり、従業員に金を持ち逃げされたりして、ケンの会社は倒産寸前。ケンは支払いを待ってもらうために取引先に頭を下げて回る。
しかしここで一気に逆転するチャンスが回ってくる。ケンが参加する格闘技イベントの広告塔を務める若い女性アイドル・中原綾名がTシャツが気に入らないとゴネているという。ケンは、高い品質のTシャツを作って綾名に渡すことができれば、綾名とマスコミを使ってTシャツをアピール出来る、と考える。そこで、フィギュアオタクの加藤に綾名の実寸でマネキンを作らせ、そのマネキンを使って、綾名にジャストフィットするTシャツを、ヤエコに作ってもらう。この作戦はまんまと成功し、ケンの会社は倒産をまぬがれ、一気に好景気に転じる。
この巻で一番良かったのは、商売の究極の理想型は街のタバコ屋、という塚原の台詞。具体的で且つ意味深。なかなかしびれる台詞だ。
勉強するな。楽して儲けるのが本当の商売、っていうのはどうかと思うが、タバコ屋のように、市民の日常に溶け込み、当たり前の存在になるのが理想という点には納得できる。習慣化してしまえば、そうそう人間は抜け出せない。新しいことをやるより、習慣どおりに行動する方が楽(ラク)だから。
習慣化させる上では、作ってダイレクトに売るのがいい、っていうのも納得。中間マージンがないし、早いし、手軽だし、客は直接文句や注文を言うことができるし、やっぱ理想はこの形でしょう。そして、客に余計な気を遣わせないためにも、シンプルである方がいいのも言うまでもない。人は1番のものにしか惹かれない、というのも人間の心理。人は真似を嫌い、真似する人間も嫌う。これらの原則から言っても、アマゾンなんかのネット販売が流行るのは当たり前、ということだ。そして、コンビニやマクドナルドなんかは、だいぶ習慣化してきて、もう無くてはならない存在だもんな。ここまでくれば、成功とかいう次元ではないし。いち早くノウハウや特許を手に入れれば巨万の富は間違い無し。
タバコ屋のように、Tシャツを売るってのは、実際にやれば当たりそう。ユニクロを超えるビジネスモデルだ。シンプルさでいえばコンビニ以上。飲食業じゃないから、マックよりも手軽に出来る。ただ習慣化させるためには、かなりアピールしなきゃダメだろうけど。
この巻は実にいい。
ややパワーダウンか…? 2006-05-06
「ドラゴン桜」で押しもおされぬ有名作家となった作者が金融を描いた作品、最新刊。
三田氏独特のハッタリや、テレビ的な分かりやすさは健在です。
「もっと大きな嘘がつきてえ…」等、思わず真似したくなるセリフが目白押し。
妙ちきりんな絵も、ずっと見てると「アリかな?」と思えてきて、「うーん、むしろ好きかも?」
となってくるあたりも相変わらず。作家として完全な安定期に入ってきているのかもしれません。
ただ内容の方はと言うとこの3巻でややパワーダウンしてしまったかなと思います。
主人公のビジネスモデルが明らかになったわけですが、少なくとも私には
この商売が現実で成功すると思えないんですよね…ちょっと待て、みたいな。
Tシャツをアイドルに着せる話も…あのフィギュア好きのオタクの存在意義って一体…
「ほんとかよ?」と思わせといて「そうかもしれない!」と思わされてしまうのが三田マジック。
この「マネーの拳」は、いまいちそれが上手く噛み合っていない気がします。
セリフが面白いだけに、少し残念。
四巻以降の巻き返しに期待します。
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