「ここ一番」に強くなれ!
三田 紀房
大和書房 刊
発売日 2009-02-19
オススメ度:★★★★
個性は走りながら考える。自分探しもほどほどに。 2009-04-09
■読み始めたきっかけ
以前「ドラゴン桜」をしばらく読んでいたことがあり、ビジネス書 が出版されたとのことで、購入してみました。
■心に残る言葉
p.63 上司を選ぶ基準は、彼の「外」にある。
→正確には上司は選べないものですが、つきあう人はその人だけでは なく、その人がどんな人脈を持っているかも知っておいた方がいいよ うです。自分がコミュニケーションが苦手で多くの人脈を持っていな くても、人脈を多く持っている人一人といい関係であれば、その人脈 を活用できると思います。
米国の有名な経営者であり啓蒙者でもある、アンドリューカーネギ ーも言いました。「自分より優れたるものを自分の周りに置きし者こ こに眠る。」と。中国では項羽と劉邦の、劉邦も優秀な部下を引きつ ける、魅力を持った人物だったようです。
p.86 「型」を嫌い、中途半端に個性を出そうとするから失敗するのだ。
→大学生や新入社員に多いのですが、「自分探し」をやり過ぎて、手 の前のチャンスに気がつかないということです。「自分の個性はこう だ」「こんな仕事は自分の好きな仕事ではない」と考えてしまうこと です。
私も就職活動中は、自分の将来については五里霧中の状態でし た。しかし、就職活動中の与えられた時間と情報の中でベストかセカ ンドベストの選択肢を取りあえず選んで、結果的に自分がやりたいこ と、自分に合っていることが入社して10年ぐらいで分かってきました。
「走りながら考える」というのも重要です。仕事や趣味を続けていく ことで、残ったものが個性であり、もともと個性などないか自分がは 気がつかないと思います。
p.89 好かれるより「嫌われない」こと
「好かれること」は所詮相手の気持ち一つであり、どこまでも不確か なものなのだ。予測や計算のしようもない。
→確かに人は一般的に好かれようと思って努力をします。特に営業職 や恋愛もそうでしょう。しかし、著者が言うようにこれは結果的に気 に入られることがあっても、その努力が確実に報われるかどうかは分 かりません。
確率論の問題で、「嫌われない」ための努力は具体的な 法則が決まっており、「嫌われない」状態であればそのうちの何人か は自分を気に入ってくれると思います。「嫌われない」ためには、人 としての基本的な型(約束、時間を守る、清潔、明朗など)を実行す ることだと思いました。
p.100 人は「物事には限りがある」と分かったとき、初めて戦略的に なれる。
→経営の要素に、人・モノ・カネが重要と言うのは有名ですが。それ に、時間・情報も追加して5要素が最近注目されています。「いつま でに誰やるのか?」を明確にした、トリンプは業績が好調と聞きます 。人生も生まれたときから火のついた導火線。すでに締め切りがあり ます。長い期間を、タームごとに区切って締め切り自分で設定する必 要があります。学生時代は、小中高大学と自然と区切りがありました が、社会人や退職後は自分で区切りを決めないといけません。
p.154 迷ったときには「逆」を選べ!
→迷ったときはどちらでも本人はいいと思っているというのは、確か に面白い発想です。迷って決められないよりも、その時の自分なりの ルールを決めておけば、決断も早くできるし、あとで後悔もしにくい (ルールで決めたのだから)と思いました。間違えたと思えば、ダッ シュで戻る方がいいようです。
■どんな人にお勧めか
自分探しをしている人
いつも岐路に立ったときに選べない人
もやもやとして、元気がない人
社会においても「基礎」が身に付いていることが重要。基礎を軽視して派手な応用による成果を夢想するなかれ! 2009-03-29
「普通」「当たり前」。
この言葉を重視している人間は意外なほどに少ない。
多くの人間が自身を「特別」であろうとし、「普通でないこと」を目指そうとしている。
それは一種の信仰のようですらある。
が、なぜか重要な場面において「特別なこと」をしようとする人間は 得てして上手くいかないことが多い。何故か?
それは、「基本が身に付いていないのに応用をやろうとする」ようなものだからだ。
逆に言えば「基本が下地として確立されていれば」、そのような場面でも 慌てることなく対処できるはずで、何も特別なことをしようとする必要などない。
V9を達成した巨人の川上監督は「基本に忠実に!」と口を酸っぱくして教えたそうだ。
不滅の大記録を打ち立てた名将ですらも「基本の軽視」はしていない。
いや、むしろ知ったかぶりの人間ほど、 基本を無視して特別なことをやりたがる傾向にあるのかもしれない。
人は長い人生において数多くの困難に直面し、迷い、決断を迫られる。
だからこそ、そんな場面を鮮やかに解決できる手法や知恵を身に付けたがる。
けれど多くの人間は基本という下地が身に付いていないのに、 その上に応用を積み上げて結果を出そうとしている。
毎日、当たり前のことを当たり前に。普通のことを普通にできることの凄さ。
あなたの周囲にいる人で何人がそれを出来ているのか?
そして、他ならぬあなたはどうか?
社会という「市場」では人も「人材」という名目で常に周囲の評価の目に晒される。
高評価を「特別なこと」をして得ようとしても、そんなことは成功しても一時のバブル。
決して長続きはしまい。
基本を確実にこなせる人間こそが市場の動向に左右されない「安定した価値」を
生み出すのだと知るべきでしょう。
大切な知識 2009-03-12
「臆病だからこそ勝てる」という筆者の意見に共感しました。
たしかに、仕事がうまく行ったときは自分が「臆病」になっていたときだと思いましたし、たしかに、仕事がうまく行かなかったときは自分が「豪胆」になりすぎていたときだと思いました。
本書を読みながら、自分のいままでの仕事をたくさん振り返ることができました。
そうして思い出したことのひとつひとつが、筆者の言葉と合わさって、大切な知識、本当の意味での経験、へと変わっていくような気がしました。
良い本を読むことができたと思いました。
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